すみの家

クローン病なのに食事制限をしない夫とスコーン量産工場長の妻

「蘇る変態」を読んでみて①〜陰と陽のミルフィーユ、星野源を探る〜

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お世話様です。スミノです。

いきなりですが星野源が好きです。

 

数年ほど前、NHKのLIFEというコント番組で知り、シングル「恋」、フルアルバム「Yellow Dancer」を聞きハマりました。

先月の中頃、たまには活字に触れるなきゃなと思い、星野源のエッセー集「蘇る変態」(文庫版)を購入。ちんたら1ヶ月程かけて読み終わりました。

 

「よみがえる変態」(文庫本Ver)をざっくり紹介

本書は2011~2013年まで、女性向け雑誌「GINZA」に連載していた「銀河鉄道の夜」というエッセイに加筆、修正、新たに大幅な書下ろしを加えてまとめたものです。

↑の文庫版が2019年9月10日に発売。文庫化に際して、単行本にさらに加筆、修正、改題などがされているとのこと。単行本と文庫の大きな違いとしては、文庫本用に後書きが追加されている部分でしょう。

内容としては

 

  • 星野源自身のパーソナリティの紹介を過去の出来事と現在(エッセイ連載中)の仕事とに絡めて紹介。嫌味のない自分語り(嫌味を感じるかは個人差あるかも)
  • 仕事が軌道に乗り、業界、世間に知られどんどん認められる。その一方で陥る、アーティストにありがちな「生みの苦しみ」が大きくなっていく様子をなるべくポップに語る。
  • 脳の動脈瘤の発症から休養、闘病時期のあれこれ。ここもポップに表現しようと頑張る。
  • 単行本、文庫本の後書き。次作エッセイ集のプチ宣伝。

 

全196ページ、1つの章を読むのに大体10~20分位でしょうか?普段から活字に触れている人ならもっと早いかも。

 

今後、数回に分けて感想を紹介します。

本日は↓

 

嫌味のない自分語り編


章でいうところの「おっぱい」~「台湾に行く」まで。

実際、アーティスト活動の話を織り交ぜてはいるが、ここまでは自己紹介も兼ねた内容に感じた。エピソードトーク盛盛の履歴書みたいな。刃牙で言うところの少年時代である。

というかしょっぱなからタイトルがおっぱい。

結局、ここで言いたいことは

「日々、こんなことばかりつらつらと考えている自分というものからの解放、今後はこのくらいの適当さで行きますよという宣言、あまり堅苦しく読まないでねというエクスキューズでもある」

なんだとか。

はえー、あんなに頑張ってんのにお気楽なエッセイもかけるんだぁ。案外、適当に生きてんのかな。」

そう感じたら、もう星野源の術中にはまっています。

全然そんな内容ではない。自分語りパートでは、読んでもらうために、ハードルを少しづつ、すこーしづつ下げている。

気づいたら、過去の話で知り合いでもないのに、「源ちゃん、精神的に潰れて自殺するのでは?」かと心配させてくる。

軽い内容に見せかけてじわじわくる。さながらベトベトンのどくどく。

その「毒」の内容をいくつか紹介しよう・・・

「それから数年絶ち成人したある日、本屋のパソコンコーナーに自分はいた。心臓が高鳴る。気が付くとある本を手にレジに走っていった。もう限界だ。自分に嘘をつくのは限界なんだ。『パソコンパラダイス』だった。そこには素晴らしいイラストが満載だった。もちろんそれは一般的な性的嗜好ではなく、社会から馬鹿にされる対象物であった。でももう誤魔化し切れないのだ。俺はこれが好きだ。僕はアニメや漫画、そのキャラクターが好きだ。ただそれだけだ。」

 

いや、すげーわかる。ほんと、「ただそれだけだ」に尽きる。

 

私の場合、星野源とは逆で、”何でもにわかファン”としての肩身の狭さを感じていた。

2000年代、アニメ、ゲームが日本を代表する文化として世に売り出される少し前、私の周りは

「凄い情熱と愛情を持ったアニメ・ゲーム・漫画好き。非リア充ですが何か?二次元最高!!」

「No,オタク文化。放課後は部活、終わったらマネージャーとプリとってmixiログイン!!」

の二択であったと思う。

 

私はどちらともかけ離れていて、「アニメもマンガも好き。でも美少女は何だか現実逃避な気が・・・うゎ、あっちは学校ではしゃいで人間関係を充実させるのに必死やん。乙。」

 

舐め腐っている。楽しくしようとしていない。多分、中学の時に西尾維新戯言シリーズ読んでいたせいだ。キャラは零埼双識が好きです。

 

ここ数年、10代の頃にもっと素直に趣味に嵌ればよかったなと思っていたところに、この星野源からのメッセージである。もったいない時間を過ごしたことを改めて自覚。つれぇわ。

 

星野源の学生時代、世間的には宮崎勤の事件もあり、当時のオタクたちはかなりの迫害を受けていたそうだ。そういった背景から、アニメとマンガが好きな星野源自身も、自分の生きがいといっても過言ではない情熱を押し殺し、オタク趣味を隠して過ごしていた。

 

この章の最後はこのように締めくくっている。

飽きたならすぐ止めればいいが、好きなのなら、止めるべきではない

 

この言葉、10年前に聞きたかったなぁ……

 

では、また次回。