昨日、ようやく読み終わりました。
伊坂幸太郎大先生、「マリアビートル」
あらすじ
幼い息子の仇討ちを企てる、酒浸りの元殺し屋「木村」。優等生面の裏に悪魔のような心を隠し持つ「王子」。闇社会の大物から密命を受けた、腕利きの二人組「蜜柑」と「檸檬」。とにかく運が悪く、気弱な殺し屋「天道虫」。疾走する東北新幹線の車内で、狙う者と狙われる者が交差する──
本の表紙裏より抜粋。
いやー、今作も最高でした。
ただ、登場人物に鈴木と槿が出てくるので前作「グラスホッパー」は読んでおかないと、「この人たちパッとでのくせに扱い丁寧すぎん？」と思うかもしれん。
前作読んだうえでは最高に面白小説でした。
グッと来た部分。（ネタバレを多分に含みます）
- 木村家のどんでん返し。雄一の生命力、渉の目覚め、両親が凄腕の殺し屋で息子を助けるなどなど・・・ちょっと都合良すぎない？と思ってしまったが、これでいいのだと思わせる王子の凶悪なキャラクターと明言されないその行方の書き方。
- ↑にも書いているけど、王子のキャラ立ちが凄い。序盤での大人を圧倒する凶悪さ、賢さに木村雄一を完膚なきまでに屈服させ、中盤でも機転と強運で檸檬を殺害、蜜柑を七尾に殺害させる。最終的にはじいじこと木村茂と晃子に拷問去れた後に仙台港に放流された模様・・・という結末込みで最高。途中まで、本気でこいつ計画をやり切るのでは？と思ったもんなぁ。
- 蜜柑と檸檬の洞察力。やはりプロの殺し屋だけあって、王子をギリギリまで追い詰める過程がよかった。アプローチとしては真逆で、檸檬は直感と経験から、蜜柑は状況からの理詰めと檸檬のダイイングメッセージで王子を追い詰めた場面。結局、両者とも天道虫が原因で殺害されてしまうのも面白かった。
- 天道虫こと七尾の徹底的なまでの不運っぷりと有能っぷり。これもマーフィーの法則の擬人化みたいなキャラクターでよかった。自身にも周囲にも不運をまき散らす。しかし、何だかんだで仕事は出来る男というのが面白ポイント。檸檬と戦い昏倒させ、その後蜜柑から逃げ切り、毒使いスズメバチの毒を喰らいながらも勝利、生還、最終盤で王子VS木村茂に関わらないという選択をとる部分。いやぁ～最高過ぎる。個人的には七尾が主役だと思ってる。タイトルもそうだし。
- 塾講師の鈴木がしっかり闇を抱えていた。前作の鯨の影響をがっつり受けている。思い返せばグラスホッパーのラストで幻覚見てたもんな。一応、武器なのかなんなのか鈴木が「強制懺悔させ人間」と化しているのがなんかウケた。
- 王子の「なんで人を殺してはいけないの？」に対してのそれぞれの回答。結局、王子に響く回答は鈴木しか出せなかったのも終盤に向けての畳かけにいい味を出していたと思う・・・というか王子の性質上、人の話を素直に受け入れることが出来ないというのも徐々に出てくるのが良かった。最初はある種のサイコパス味、天才性を見せているようで、最終的には木村茂に「そんなものは皆ガキの頃にやるんだよ」とパワー論破されるのが面白かった。死生観、みんな違ってみんないいじゃない。
考えよう！キャスティング！
キャスティングを妄想。
小説を読んでる時の楽しみ方ですよね。
七尾：岡田将生
小説内でもイケメンと書かれているので。
あとは邦画版「CUBE」でのテンパり演技が七尾の不運場面にハマると思う。
木村（雄一）：大泉洋
サイコロ夜行バスの旅をやった表情の大泉洋しか思いつかなかった。以上。
最近は知的なイメージがついてるけど、長髪長身な乱暴者がハマると思う。既婚者で子供もいるから、機関車トーマスの全キャラ覚えられるでしょう。
蜜柑：斎藤工
檸檬の相棒。知的で丁寧な凄腕殺し屋。小説を読むのが好き。
王子：昔の神木隆之介
正直、最近の１０代の若手俳優が思いつかなかった。
寺田心さんぐらいしか分からん。それはそれで面白そうだけど。
ちなみにハリウッドで実写映画化するらしいです。ブラピ主演だそうで。
https://eiga.com/news/20210617/8/
これ、内容的には木村家と王子の件は抜かして、「七尾VS蜜柑と檸檬のキャリーバック争奪戦」的な内容だろうなと予想してます。もちろん見るぜ。ソリッドシチュエーションなジョンウィックを期待している。
まとめ
いやー、前作で作った世界観を保ちつつ、木村、蜜柑と檸檬、七尾のストーリを素敵にまとめ上げたと思います。最高。
３作目の「AX（アックス）」は出版されたての頃に読んだ気がするけど、改めて読みたいと思います。
まとめの１曲、もとい個人的「マリアビートル」のテーマソング
英訳とかは知らん。完全に雰囲気が好き。
是非、ハリウッド版のテーマソングにレッチリをお願いします・・・
そういえばAXの感想書いてたわ。しかも中途半端。
